Linux Conference 2002 プログラム一覧

axLinux/SH-Mobile の開発
[組み込み事例]

小前 晋, 竹岡 尚三
我々アックスは従来より日本で独自開発された CPU のために Linux の実現を行ってきた。今回、SH3-DSP CPU コアを中心に携帯電話のための回路を集積した、SH-Mobile チップのために Linux を実現したので報告する。
axLinux/SH-Mobile では、SH3-DSP の特性を生かし、その CPU コアが性能を発揮できるように配慮した。また、SH-Mobile に集積された高速オンチップ・メモリ、周辺 I/O などを生かすように配慮した。
今回報告する axLinux/SH-Mobile は、特にプロセス・スイッチと、ユーザ・プロセスへの DSP の特殊な割り当てに特徴がある。
(9/20 15:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

野地 健太郎
このプロジェクトは、現在プラットフォームに依存しているロケール (言語及び地域依存情報) を、分散環境においても、整合性のあるロケール情報として相互参照を可能にすることを目指している。そのためには、1) 公共のロケール・レポジトリを用意し、2) ロケールを分かりやすい共通のフォ-マットで記述し、3) オン・デマンドでロケールをダウンロードできるようにする必要がある。
本論では、趣旨、現状分析及び問題点、運営方法を、実装の一例を交えて論じる。
(9/19 13:00〜 45 分)

FLIM/SEMI における電子メールセキュリティ
[emacs 関連アプリケーション]
[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

上野 乃毅, 岡田 健一, 小林 修平
主要なサーバ実装への採用により、電子メールプロトコルにおいて認証や通信路の暗号化といったセキュリティ機能が一般に利用できるようになりつつある。これらの基礎となる SASL や STARTTLS などの機構は、SMTP のみならず様々なインターネットプロトコルに容易に組込めるように設計された標準規格である。また、電子メールメッセージの暗号化や電子署名といったユーザレベルのプライバシー保護に関しても OpenPGP や S/MIME といった相互運用可能な標準の存在には重要な意義がある。
本論文では、Emacs でインターネットメッセージを取り扱う枠組である FLIM/SEMI に各種の標準をサポートするセキュリティ機能を盛り込んだ経験から、フレームワークとしての実装の詳細、および安全なアプリケーションの構築に必要な知見などを述べる。
(9/20 13:00〜 30 分)

Free Standards Group の標準と認証試験
[標準化・コミュニティー支援]
[資料: プレゼンテーション]

樋口 貴章
Free Standards Group で行われている Linux / Open Source の標準仕様策定の最新動向と、その標準に対する適合性認証試験について報告する。
(9/19 15:00〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

g新部 裕
本論文では、単一プロセッサシステムを対象とした、ユーザ空間における排他制御の仕組み gUSA (``g User Space Atomicity) の原理と実装について述べる。
ここで、対象となる単一プロセッサシステムに、排他制御のためのメモリロックの機構がハードウェアでサポートされていることを前提としない。
gUSA は、Generic (広範囲のプロセッサに対応可能), General (Linux 以外のカーネルにも適用可能), Gentle (カーネルの変更は最小限であり、かつ適用が容易) という特徴を持った方式であり、GNU Project の成果である。
(9/19 13:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

知念 充, 吉田 忠行, 鷲澤 正英
Linux の国際化機能の磐石を固めるため、LI18NUX により LI18NUX2000 国際化規約が定められた。この規約は POSIX を始めとする複数の規約を参照する形式であり、準拠しているかどうかを判定するための確認項目が膨大な数に上る。このため初回の適合判定パイロットプログラムではこの適合判定に複数人で一週間程度要した。
そこで我々は適合認定を短時間で行うためのオートマチックテストスイートを開発した。このテストスイートにより適合判定に要する時間を約一時間程度に短縮することができ、既に行われたいくつかのディストリビューションに対する適合認定においてきわめて有用であった。
本稿ではその概要・開発上の工夫点・実行結果・考察を報告する。
(9/20 13:50〜 45 分)

末廣 陽一
Free Standards Group Linux Internationalization Initiative の 2003 年までのロードマップを提示し、我々はいつ、どのように『国際化』活動に終止符を打てば良いのかを議論する
(9/18 17:00〜 120 分)

[資料: プレゼンテーション]

松岡 聡
昨年来、次世代のインターネットのソフトウェアインフラとして、グリッド (超広域高性能の計算基盤) が着目されている。特に大規模科学技術計算では、従来を凌駕するテラ (1012) 〜 ペタ (1015) フロップス規模の計算処理、ペタバイトのデータ処理、および世界中分散した数千人規模の研究者に対して仮想計算環境を提供し、グローバルな国際的共同研究を可能にするという効能から、次世代科学技術基盤として、今日では大規模国際プロジェクトが動きつつある。その中で、本センターおよび研究室では、「コモディティグリッド」として、種種のグリッド指向のクラスタシステムソフトウェア、特に性能スケーラビリティ並びに高信頼性のミドルウェア技術を数多く提案してきたのみならず、大規模 PC クラスタを中心としたコモディティグリッドの実証構築を行ってきた。その中でも研究室の PC クラスタの PrestoIII は、米国 AMD 社等と共同研究を行い、ピーク性能 1.6 TeraFlops を達成し世界のスーパーコンピュータのランキングである Top500 (http://www.top500.org) の 2002 年 6 月版で 47 位 (国内 9 位)、PC クラスタ 2 位 (国内 1 位) にランクされた。大学研究室所有の計算機が 100 位以内に入ったのは世界初で、多くの研究所や大学の計算機センターの最大級のスパコンを凌駕する。
また、「東工大キャンパスグリッド」プロジェクトを NEC とスタートさせ、キャンパス内に 800 プロセッサ / 1.3 テラフロップス以上の PC クラスタノードを配置して、わが国初の大規模構内グリッドの構築実験を遂行している。本講演では、グリッド技術の現状とともに、これらのコモディティグリッド技術に関しての紹介を行う。
(9/20 10:00〜 90 分)

竹岡 尚三
Linux ザウルスに興味のある者が集まり、情報を交換しザウルスとそのコミュニティーの今後について語り合う。
シャープの Linux ザウルスの開発関係者も BOF に出席の予定。
(9/18 17:00〜 120 分)

[資料: プレゼンテーション]

白石 奈緒樹
シャープでは、Linux を適用した携帯情報端末「ザウルス」を実用化しました。
本講演では、シャープが考える携帯情報端末のビジョン、携帯端末に Linux を採用した背景、民生機器に Linux を適用する際に遭遇した課題、その解決アプローチ、今後の取り組みなどについて紹介します。
(9/20 15:50〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

外尾 幸子
近年のめざましい科学技術の進歩を背景に、社会は情報化が急速に進展しつつある。そのなかでも、データベースは情報システムの基本要素として今や不可欠なものとなっている。現在の大学において成績の管理、就職情報の管理、予算の管理を行うことは繁雑な手順を踏むことが多く、データを入力するには、非常に多くの時間と費用が費やされることとなる。解決策として、Web ブラウザ上で行う方法がある。本システムは、Linux 上の PostgreSQL と成績管理には JAVA、 就職情報の管理には PHP、 予算管理には PHP と Microsoft Access を使用している。ネットワーク上を流れるパケットは、SSL (Secure Sockets Layer) で暗号化されている。
(9/19 15:00〜 45 分)

佐藤 真也
近年、IT 関連ビジネスの飛躍的な成長に伴い、ストレージ容量は益々増加する傾向にあり、SAN (Storage Area Network) などの大規模なストレージを用いたシステムが増えてきました。また、性能向上、コスト削減の要求からこのようなシステムに対して Linux を適用する機会も増加傾向にあります。
果たして、Linux + SAN のシステムにおいてストレージのパワー、ストレージ上のデータをフル活用しているのでしょうか。
このセッションでは、弊社が考える Linux + SAN ソリューションをご紹介し、Linux と SAN の新たなる可能性を示します。
(9/18 13:00〜 45 分)

Linux における CPU/Memory/IO の Hot Plug サポート
[エンタープライズ・カーネル]
[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

青野 寛, 河内 隆仁, 菅沼 公夫
USB デバイスや PC カードでは Hot Plug 機能は一般的になってきているが、最近では CPU や Memory といった部品の Hot Plug も一部のハイエンドシステムでサポートされている。そのようなシステムを Linux でサポートするためのプロジェクトが進行中である。本論文では、「CPU Hot Plug」「Memory Hot Plug」「IO Hot Plug」それぞれのプロジェクトを紹介する。
CPU や Memory といった部品はシステムの中心的なものであり、通常はスタティックなものとして扱われている。これをダイナミックなものとして扱えるようにするために、どのようなテクニックが必要なのか、どのような問題が存在するかを技術的な観点から説明する。また、ハードウェアとのインタフェースとなる ACPI の役割についても解説する。
(9/19 15:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

飯尾 淳, 比屋根 一雄, 谷田部 智之
我々は動画像認識処理のアルゴリズムを簡単に実装するフレームワークの提供を目的として汎用動画像処理ソフトウェアライブラリ「MAlib」の開発を進め、オープンソースソフトウェアとして公開している。昨年度に行なった概要の紹介に続き、本稿では以下の項目について報告し、今後の展望について述べる。
・ビデオキャプチャボードに接続された NTSC カメラ、USB カメラ、IEEE1394 カメラから入力の現状 (Linux における利用の実際)
・汎用動画像処理ソフトウェアライブラリ MAlib の現在の開発状況
・MAlib の応用例、とくに新しいユーザインタフェースの提案
(9/20 13:40〜 30 分)

[資料: 配布資料]

菅谷 みどり
本稿では、ext2, ext3, jfs, Reiserfs ファイルシステムの実装の特徴と性能を、信頼性と性能に重点をおいて分析する事を目的とする。
論文では、共通となる Linux のファイルシステムが持つ機能やその特徴についてふれ、各種ファイルシステムのアルゴリズムの論理分析を行った上で、パフォーマンス、復旧率などの指標について調査を行う。調査の結果をもとに信頼性に考察する。この中で、信頼性と性能にトレードオフが存在することを指摘する。
また、性能は I/O に伴うバッファキャッシュや、仮想メモリとの相互干渉を考慮する必要がある事にふれ、改善に関して、一部ユーザーモードからのチューニングを行い結果を評価する。
(9/20 15:40〜 30 分)

[資料: 配布資料]

木内 志朗
組込みシステムの OS として Linux の採用が急速に進んでいる。理由は、近年の複雑化する組込みシスシステムで要求されるネットワーク機能やファイルシステム、ミドルウェアといった多くの機能を Linux が全て提供できるためである。本講演では、組込み Linux を使用したシステム開発について、実際の開発手順に従いカーネルの構造、ブートローダ、カーネル移植、デバイスドライバ、ファイルシステム、ミドルウェア、製品化といった一連の流れについて解説を行う。また、従来の RTOS との違いや組込み Linux の問題点、開発環境、オープンソースライセンスなどについても触れる予定である。
(9/18 13:00〜 220 分, 有料)

[資料: 配布資料]

風穴 江
「Linux とは何なのか」、「オープンソースとは一体どういうことなのか?」という基本的でありながら根源的でもあるテーマについて、正しく理解することを目指します。教科書的な知識だけでなく、現実の状況など最新の動きも盛り込みながら解説し、Linux の今後を自身でも見通せるようになる「基礎力」を身につけられるようにします。具体的な項目としては、「Linux の歴史と背景」、「Linux ディストリビューション、それぞれの位置づけと違いを知る」、「オープンソースライセンス理解のツボ」、「Linux ビジネスの歴史と将来展望」、「Linux をめぐる新潮流」などを予定しています。
(9/19 15:00〜 100 分, 有料)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

姉崎 章博
日本 Linux 協会 (JLA) Linux 商標ワーキンググループでは、1999 年ごろから細々と Linux の商標に関する調査を行い、2002 年初頭に第一次調査結果を「過去のワーキンググループ」で公開していた。
この調査内容に関し、創英国際特許法律事務所の工藤弁理士のご支援を得て、最新の情報を反映し、トラブルに対する対処方法を明確化していただき、これを第 2 次の Linux 商標の調査結果として下記 URL に公開。
http://jla.linux.or.jp/WG/TradeMark/index.html
(この Web の内容は、当日、資料として配布します)
この Linux 商標に関する調査に至る経緯や調査結果を簡単に紹介する。
今後もこのような非技術的な課題に対しても JLA の会員の皆様と協力して解決するような日本 Linux 協会でありたい。
(9/18 13:40〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

稲岡 一弘, 近藤 弘郁, 坂本 圭, 作川 守, 高田 浩和, 山本 整
組み込み応用システムのためのアーキテクチャ研究開発用プラットフォームとして、Linux を搭載したソフトウェア/ハードウェア開発環境を構築した。組み込み用 32 ビット RISC マイコンである M32R プロセッサをターゲットとしている。
2002 年 5 月現在、 FPGA モデル版の M32R プロセッサを搭載したターゲットボードにおいて、2.4 系の SMP 対応カーネル上で Debian ベースのディスクレス・システムが稼働し始めている。
本論文では、Linux を新たなアーキテクチャに移植する際に何が問題となるのかについて述べ、今回のフィージビリティ・スタディを通して苦労した点についてふれながら、M32R 向け Linux 移植を実際どのように進めたのかについて具体的に説明する。
(9/19 13:50〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

高橋 直人, 戸村 哲, 半田 剣一, 錦見 美貴子
多言語処理において、表示は入力と並ぶ重要な要素である。しかし、従来は個々のスクリプト単位でハードコードされたモジュールとして実現されていたために、スクリプトやフォントの追加や拡張を行なう際には、全体の整合性を保ちつつ新たにプログラムを書き加えるという困難な作業が必要とされていた。
そこで現在我々が開発中の汎用多言語処理ライブラリ「m17n ライブラリ」では、表示機能を「レイアウト・エンジン」と「フォント毎のドライバ」に切り分けて実装した。前者は汎用のものが提供されるので、データベースに必要なドライバ情報を登録するだけで、次々に新たなスクリプト/フォントをサポートすることが可能である。
(9/18 15:00〜 45 分)

Open Print Framework
[標準化・コミュニティー支援]
[資料: プレゼンテーション]

志田 惠昭
Linux 上で提供されている印刷環境は、商用のデスクトップの印刷環境に比較すると、残念ながらまだ印刷品質やユーザインタフェースなど見劣りする点が多い。
また、印刷の仕組みに標準が存在していないために、操作性のレベルの差異、アプリケーションでの印刷サポート方法、またプリンタドライバの提供方法などにさまざまな問題がある。それらを解決するために、2002 年 10 月に米国で開催された OSDN Printing Summit II の勧告を受け、Free Standards Group 配下に印刷環境に関する作業グループが組織された。その活動を支援するために、日本 Linux 協会 (JLA)、PC オープン・アーキテクチャ推進協議会、OSDL ジャパンは共同で Free Standards Group/Open Printing WG の日本における検討会を開き活動を続けてきた。
本発表では、国際的に行われている印刷環境の標準化の技術内容および日本の検討会の活動を報告する。
(9/19 15:40〜 30 分)

志田 惠昭
Linux 上で提供されている印刷環境は、商用デスクトップ印刷環境に比較すると、その印刷においていくつかの問題がある。この問題を解決するために、Free Standards Group Open Print WG は、ドライバーフレームワーク、プリンター固有機能の利用方法、標準スプーラー、ジョブ制御、印刷関連 API の標準化などの活動を行っている。この BOF では、その活動内容を紹介し、日本の検討グループメンバーと議論を行う。
(9/19 17:00〜 120 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

武藤 健志
日本医師会が大規模に研究・開発を進めている ORCA は、Linux ディストリビューションの 1 つである Debian GNU/Linux の上に成り立つオープンソースシステムである。本チュートリアルでは、ORCA 導入以前の障壁とされている Debian GNU/Linux に焦点を当て、ORCA サポート事業者およびユーザー向けに、ORCA インフラストラクチャとして推奨されるハードウェア、Debian GNU/Linux のインストールのポイント、X Window System および使い勝手のよい日本語環境の構築、プリンタの設定方法、それに Debian GNU/Linux ならではのさまざまな管理テクニックなどを教示する。
(9/19 13:00〜 100 分, 有料)

OSDL / OSDL Japan の活動報告
[標準化・コミュニティー支援]
[資料: プレゼンテーション]

高澤真治
2002 年 1 月に本格稼動を日本でも始めた OSDL・OSDL ジャパン。OSDL では、データセンタークラスや通信事業向けに Linux を展開するための技術要件を整理しました。これに基づき、カーネル改良のプロジェクトを誘致し、その開発リソースをコミュニティーへ提供します。また、カーネルをテストスイートとして開発した STP (Scalable Test Platform) と DBT-1 (Data Base Test - 1) を説明します。技術的な検証や性能向上のための環境を個人で用意するのはたいへんです。また、エンタープライズへの適用要件は大規模・可用性・拡張性などという面での検証が必須となります。オープンソースソフトウェアが企業系システムへ適用されるには、まだ多くの課題があり、検証と改良には時間がかかります。これに OSDL は果敢に取り組み、コミュニティーを支援していきます。
(9/19 16:10〜 30 分)

[資料: 配布資料]

花田 武彦
画像から複雑な対象を理解する場合、複数視点からの画像を用いることは、より多くの情報が得られるという点で有効である。しかし、このような多視点情報を実時間で処理する場合、一台の計算機ではカメラの接続台数の制限や計算能力の限界が問題となってくる。本研究では、この問題を解決するために Linux ベースの PC クラスタを利用する。PC クラスタを利用した実時間並列画像処理アプリケーションには、実時間性を保証するための同期機構が必要となり、プロセス管理や割り込み処理、排他制御等を考慮しなければならない。そこで、本公演では、実時間並列画像処理に特化した柔軟な同期機構を提供するプログラミングツール RPV について述べる。
(9/20 14:10〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

永野 圭一郎, 林 芳樹
本稿では、我々が GNU Emacs を対象に開発した portable dumper を解説する。これは、既存手法 (unexec) と同程度に Emacs の起動を高速化しながら、unexec の問題点である移植性の低さを改善したものである。起動の高速化は、既存手法と同様に、起動に必須の Lisp ファイル群を、あらかじめ解釈済みの状態で保存しておくことによって実現する。我々はその際に、データの保存および復元において、platform 依存の知識を避け、可搬性の高いライブラリ/システムコール呼び出しのみを用いることによって高移植性を実現した。この portable dumper が既存手法と同程度に Emacs の起動を高速化すること、そして GNU/Linux および Windows を含む多数の platform で同一のコードが動作すること、以上 2 点を実験により確かめた。
(9/20 15:00〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

三谷 篤
PostgreSQL は Web-DB などの分野で広く利用されている高機能なデータベースですが、分散機能を持っていないため、システムが高負荷になった場合、致命的な問題となることがあります。負荷分散を目的とした機能追加が PostgreSQL に実装できれば、これまで利用を諦めていた高負荷なシステムでも利用可能になり、その可能性が広がると思われます。今回、負荷分散を目的として PostgreSQL に双方向レプリケーション機能を実装しました。 3 台の DB を使ったベンチマークでは、同時接続数が 16 未満では 10% 〜 17% のオーバーヘッドがみられましたが、同時接続数が 16 以上ではオーバーヘッドも殆ど見られず、特に参照系のクエリー (SELECT) では高い処理能力が計測され、負荷分散に有用であると思われました。
(9/18 13:50〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

石井 達夫
PostgreSQL は安定度が高く、信頼性と機能に優れたオープンソースデータベースとして定着しています。本チュートリアルでは、PostgreSQL によるデータベースサーバの構築と管理技法を解説します。導入や設定と言った基礎的なポイントはもちろん、Web システムのバックエンド DB として PostgreSQL を利用する際にポイントとなるパフォーマンス、可用性の問題についても説明します。最後に、現在開発中の PostgreSQL の次期バージョン 7.3 についての最新情報をお届けします。
(9/20 13:00〜 100 分, 有料)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

小田切 耕司, 武田 保真
Samba は Linux/UNIX マシンを Windows 互換のファイルサーバ/プリントサーバにするオープンソースソフトウェアである。
本論文では、Samba をエンタープライズ領域で使うために必要な以下のような機能・性能評価を検証・評価した結果を分析して報告する。
・4GB を超えるファイルのコピー
・多数クライアントからの接続シミュレーション
・多数のユーザ登録を passwd ファイルに行った場合の接続シミュレーション
・多数のユーザ登録を OpenLDAP に行った場合の接続シミュレーション
・コンパイラを変更しての性能測定
(9/20 16:10〜 30 分)

白川 晃
Sun から新しく発売されました x86 dual CPU エッジサーバ Sun LX50 と、プリインストールされた OS である Sun Linux 5.0 についてご紹介いたします。
サンが考えるエッジ・コンピューティングというコンセプトと、なぜ intel アーキテクチャのサーバを販売するのか、なぜ Sun Linux というディストリビューションを自らリリースすることにしたのか、などについて背景をご説明いたします。
LX 50 は intel の Pentium III (1.4Ghz) を利用した 1U サイズのサーバです。最大 6GB のメモリや 216GB の HDD を搭載できるスペックの、拡張性をもった汎用エントリサーバです。
また Sun Linux 5.0 の概要をご紹介するとともに、サンのソフトウェアとして追加されたモジュールの内容について簡単に触れ、IPMI を利用した Lights Out Management や Sun Cobalt Control Station を利用した rpm の集中管理についてもご紹介いたします。
(9/19 14:00〜 45 分)

taiyaki.org/elisp programming techniques
[emacs 関連アプリケーション]
[資料: 配布資料]

小松 弘幸
Emacs の魅力のひとつは、利用者が Emacs Lisp によって自由に Emacs の機能を拡張できる点である。筆者もまた、その Emacs に魅了された一人であり、いくつかの自作 Emacs Lisp をウェブサイト "taiyaki.org/elisp" で公開している。
本論文では、(1) 著者による Emacs Lisp の紹介および (2) Emacs Lisp プログラミング Tips の紹介を行う。プログラミング Tips は著者の Emacs Lisp を題材にソースコードを交えながら議論する。内容は「既存コマンドの拡張方法」、「リージョンモードに応じた機能の変化」、「外部プロセスとの通信方法」などである。
(9/20 13:40〜 30 分)

USAGI IPv6
[ネットワーキング]
[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

神田 充
USAGI プロジェクト (http://www.linux-ipv6.org/) は Linux における IPv6 環境を改善するために活動しているプロジェクトである。今回、我々は、USAGI プロジェクトの進捗、IPsec 実装の具体的な仕組みなどについて発表する。
(9/18 15:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

八重樫 剛史
vArashi プロジェクトは、Linux Conference 2001 の Lightning Talk において発表した Video Game Playing Computer Project の構想をもとに 2002 年初頭にスタートしたプロジェクトで、ビデオゲームを人間のようにプレイする機械 (vArashi システム) を創造することを目的としています。
本論文ではまず vArashi プロジェクトの概要とその基本的なアイディアについて説明します。あわせて本プロジェクトの意義と応用範囲、目標についても述べます。
(9/20 13:00〜 30 分)

鈴木 大輔, 松林 弘治
Vine Linux のこれからを、開発者として、あるいはユーザとしての
視点から議論します。今後の行く方に関わりたい方はぜひご参加下さい。
(9/18 17:00〜 120 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

伊藤 剛志, 梅原 和芳, 三條 光輝, 信太 晃司, 杉村 康, 渡辺 高明
現在、インターネット上の Web サーバとして、Linux と Apache が普及しつつある。
それらのサーバの処理能力評価は、従来、性能指標プログラム (ベンチマーク) を走行させて、得られた結果を個々のシステムで比較するという方法で行われている。
しかし、ベンチマークによる評価は実際のシステムの状態を反映していないとの指摘もある。当研究では、処理能力評価を実際の呼データを使用して客観的に評価する多端末シミュレータ (MTS[1]) の手法に着目し、Linux と Apache 上での MTS である MTSLW (A Multi Terminal Simulator on a Linux to evaluate Web Sites) を提案する。尚、当研究の成果は、GPL に基づき、以下の URL にて公開を予定している。
<http://www.ibaraki-ct.ac.jp/ece/yas/mtslw/index-e.html>
([1] 伊土誠一、中川豊、杉村康、"運用データを利用した大規模オンライン情報システム用信頼性保証方式",信学論、 Vol.J79-D-I,No.12,pp.1192-1202,12 月 1996.)
(9/20 13:20〜 30 分)

佐野 武俊
前作の 2.2 ポテトから 2 年半の時を経てようやく登場した Woody。そのリリースを記念して、新しく登場した便利な機能や追加されたパッケージ、またインストールや設定における変更点などなど、Woody についての tips や Q&A をみんなで話しましょう。
(Woody 以降に登場してくる大きな変化についての予測とか、日頃 Debian を使っていて感じていることや、やりたいと思っていること、あるいはこの機会に聞いてみたいと思っていることなんでも OK)
(9/19 17:00〜 120 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

岡田 良太郎
WEB 改ざん、クロスサイトスクリプティング、データ漏洩の問題が頻発する中、オープンソース基盤のアプリケーションは増大の一途をたどっている。
ベンダー保守や開発会社依存のできないオープンソースシステムにおいて、セキュリティ品質確保のために何ができるのか。最近のセキュリティ事情を中心に見据えながら、方針面、技術面における方策について説明する。
(9/18 13:00〜 220 分, 有料)

江後田 基広
パーソナルコンピューティングを変容する可能性を持つ、新たな PC カテゴリーである UPC (ウルトラ・パーソナル・コンピュータ) への取り組みとして「74mm x 128mm」という超小型 PC 基板を披露するとともに、実際に WindowsXP や Linux が稼動するデモをご覧頂きます。
また、UPC への取り組みから生まれた様々な技術をベースに開発中の、世界最高密度となる 19 インチ 2U サイズ (430mm x 88mm) のエンクロージャ筐体に 24 枚のサーバブレードを実装することで標準的な 42U の 19 インチラックに最大 504 サーバを実装可能な新たなブレード型サーバのカテゴリーとなる "WAKE" もご紹介いたします。
(9/20 14:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

久門 耕一, 平井 聡, 山村 周史
エンタープライズ分野では過負荷時の安定性や CPU 増加に見合う性能スケーラビリティが重要な要件となる。本論文では、これらに大きな影響を与えるプロセススケジューラに的を絞り、 Linux システムの定量的な性能評価・分析を行う。カーネル 2.4 系の基本スケジューラや Multi Queue スケジューラ、そして最新の O (1) スケジューラまでを取り上げる。特にカーネル 2.4 のスケジューラについて我々が行ったチューニングとその効果についても報告する。また、論理 CPU 間での共有リソース競合を考慮する必要がある Hyper Threading 機能を持つ最新 CPU について、各スケジューラの性能測定および改良について検討する。
(9/19 15:50〜 45 分)

高橋 千恵子
インターネットでのサーバ利用から、組み込みシステム、科学技術計算、そして、エンタープライズへと Linux の適用領域が拡大しています。NEC ではこのような市場動向に合わせてエンタープライズ領域への取り組みを強化していきます。本講演では、NEC のエンタープライズ領域に対する取り組みをご紹介します。
(9/18 15:00〜 45 分)

[資料: 配布資料, 配布資料(2)]

生越 昌己
2001 年 11 月、日本医師会は「日医 IT 化宣言」によって、日本医師会が作るソフトウェアを全てオープンソースとすることを宣言した。これはソフトウェア産業の立場から見ると斬新なことにうつるが、ユーザ団体の論理として見れば至極当然のことである。
現在開発中の ORCA システムでは、「レセコン」と呼ばれる医療事務システムが開発の対象となっている。しかし ORCA システムの究極は医療機関の IT 化の推進であるため、今後他の医療関連システムも同様に範囲を拡げて行く予定である。
このような業務システムがオープンソース化されることにより、医療分野でのシステムの標準化が行われると共に、データ交換がよりスムーズに行われるようになるというメリットがある。しかしその反面、システムを開発販売するベンダーにとっては、厄介な競合品が登場すると共に、ビジネスモデルの転換を迫られるという両刃の剣でもある。
(9/19 15:50〜 45 分)

[資料: 配布資料]

寺本 振透
技術は広く開放されてこそ生きるものだ。だが、技術開発者は資金調達をしなければならない。そして、資金調達の仕組みは、技術の独占を前提とするものだった。このことは、せっかくのオープンソースの技術を梃子 (てこ) とした資金調達が困難であることを意味する。いま、我々――投資銀行とファイナンス専門の弁護士たち――は、「信託」という仕組みを利用してこの障壁に風穴を開けるべく一生懸命だ。
我々の研究の一端を紹介させていただく。
(9/18 14:10〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, プレゼンテーション(2)]

M. Takeyama, 樋口 貴章
サーバや組込用途に脚光が当たる Linux ビジネスであるが、クライアントとしての活用も重要なテーマである。実際に、GNOME/KDE のような GUI、Linux Terminal Server Project のようなクライアント管理手法、OpenOffice.org などのプロダクティビティ製品の充実化、Linux プリインストール PC 販売事例など、クライアント利用に関しても活発な動きがある。クライアント利用推進のためのプロジェクトや事例の紹介を通して、「オープンソースではないクライアントシステム」の代替の可能性について論じる。
(9/19 14:10〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

青野 寛, 大谷 敦久, 佐竹 康司, 外丸 浩子
本論では、Linux 等を用いたクラスタシステム、及びストレージエリアネットワーク (SAN) 環境において、高速にディスク/ファイルを共有するための手法を提案する。
我々は、スーパコンピュータで使用されているクラスタファイルシステムを対象とした以前の開発において、サードパーティー転送の機能を有するディスク装置にのみ適用できる手法で、ローカル I/O に匹敵する十分な性能を出し得ることを実証した。しかし、サードパーティー転送のような機能を有しない一般に入手可能なディスク装置であっても適用できる手法があれば、ユーザ自身が価格や性能等の面から好みのディスク装置を選択し、その装置を用いて高速なディスク/ファイル共有を実現できる。このため、ディスク装置の特定の機能に依存しない一般性のある高速ファイル共有手法が必要と考えられる。
そこで本研究では、Fibre Channel 等を用いた一般的な SAN 環境に接続できるディスク装置であれば、どのような装置であっても適用できるカーネルデーモンによる手法を開発し、Linux カーネルに対してインプリメントを行った。その結果、ローカル I/O 性能の 90% 程度の性能が得られることを確認した。
また、LVM によって複数のディスクをストライピングした場合のファイル共有においては、その性能値が理論値に対して 85% 以上であることを確認したので、ストライピングのスケーラビリティーとしても十分であると言える。
(9/20 15:00〜 30 分)

新島 秀人
近年、特に注目を集めている次世代 e-ビジネスを実現する中核のテクノロジー : グリッド・コンピューティング。IBM のグリッド・コンピューティングに対する取組み、オートノミック・コンピューティング技術との融合を、その技術的背景、応用の可能性、そして将来のビジョンとともにご紹介します。
(9/19 13:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

長谷川 勇
GNU C Library (以下 glibc) には、すでに国際化アプリケーションを作成するために必要な API が用意されている。しかし、glibc-2.2.x の正規表現関数においては、複数文字照合要素の扱いなど、国際化の観点からはまだ十分ではない。
我々は glibc のメンテナ Ulrich Drepper 氏の協力のもと国際化正規表現ライブラリの実装を行った。我々の実装は POSIX 準拠の国際化、DFA ベースの実装などの特徴を持ち、現在 glibc-2.3 の CVS ツリーにマージされている。
本論文では、国際化正規表現の解説を行い、従来の正規表現ライブラリの問題点と我々の実装の特徴、成果を述べる。
(9/18 15:50〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

関場 治朗, 鷲澤 正英
Character User Interface である端末エミュレータは、Posix locale model に基づいて国際化された portable な実装は存在しない。
X Window System 上では mlterm や xfree86 xterm などが多国語で利用できるようになってきているが、これらは Posix locale model に基づいてはいない。
また、コンソール環境においては日本語表示を中心とした jfbterm や C/J/K に特化し描画スピードを重視した zhcon などの端末プログラムが開発されてきているが、それらは限定したコードセットのみを扱い、地域化の範囲を超えていない。
今回、 BiDi (Bi Directional) 言語を含めた多言語の表示に対応し、X Window System および Linux のフレームバッファを利用した国際化端末エミュレータを開発したので、その概要を述べる
(9/18 16:20〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

八田 真行
Linux カーネルにはライセンスとして GNU GPL が適用されている、とは良く聞くが、Linux カーネルにはコピーレフト (copyleft) が主張されている、という表現はほとんど耳にしない。エリック・S・レイモンドの「伽藍とバザール」発表以降「オープンソース」という言葉が人口に膾炙したのとは裏腹に、リチャード・M・ストールマン率いるフリーソフトウェア財団の中心概念とも言うべき「コピーレフト」に関しては、(少なくとも日本では) 未だ正確な理解が広まっていないようである。本稿では、現在のオープンソース/フリーソフトウェア隆盛の礎の一つであるコピーレフトという概念をその起源からたどり、情報経済学、社会学、法学の各理論から得られる知見を援用しながらその意味と射程を探ってみたい。
(9/18 13:00〜 30 分)

坂下 秀
式神は、(株) アックスが中心となってオープンソースプロジェクトとして開発を行っている、組込/携帯機器向けの GUI 環境である。2002 年 7 月にリリース 2.0 を発表し、PDA 以外に、次世代モバイルフォンやアプライアンスへの展開を進めている。BOF では、式神の新たな応用など、将来への展開について議論を行いたい。
(9/19 17:00〜 120 分)

自動化テスト環境 STP
[評価システム]
[資料: プレゼンテーション]

佐久間 純一
STP (Scalable Test Platform) は、OSDL (Open Source Development Lab) が提供する自動化テスト環境である。STP を用いることにより、オープンソースソフトウェア開発者はいつでも、OSDL が提供するハイエンドサーバーや大容量高速ストレージに対し、自作カーネルパッチの検証やベンチマークテストを自由に実行できる。
本稿では、STP の機能や利点について利用例を交えながら紹介していく。また、近く公開される予定の STP v2 についても言及する。
(9/20 13:00〜 15 分)

[資料: プレゼンテーション]

福田 秀敬
我が国 IT 市場の動向等を解説する。
Linux を初めとする Open Source Software の IT 政策に与えるインパクトを解説する。
今後の政府における Open Source Software 関連施策を紹介する。
(9/19 10:00〜 60 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

松井 潔
C で書かれたソースプログラムにはプリプロセスのレベルでの問題を持つものが少なくない。それらのプログラムは特定の処理系の仕様に依存していたり不必要に tricky な書き方をしているために、portability とメンテナンス性が悪く、バグの温床となる可能性を持っている。そうしたソースが多く存在する理由の一つは、既存のプリプロセッサが寡黙すぎて、ソースチェックの能力が低いことである。
私は久しく以前から C プリプロセッサ cpp の開発をしているが、これは 1. きわめて正確である、2. 診断メッセージが豊富である、3. デバッグ用の拡張機能を持つ、4. portable である、5. オープンソースである、等々の特徴を持っている。
これを処理系付属のプリプロセッサと置換して使うことで、ソースのプリプロセス上の問題点をほぼすべて洗い出すことができる。FreeBSD 2.2.2R の kernel と libc のソースに使った結果は V.2.2 のドキュメントで報告している。現在開発中の V.2.3 を Linux の glibc 2.1.3 に適用したところ、こちらにはもっと多くの問題のあることがわかった。
プリプロセッサそのものの正確さと品質も問題である。私は cpp とともに、プリプロセス検証セットを作成している。これは二百数十項目にわたってプリプロセッサの多角的で網羅的なテストと評価をするものである。これを適用すると、私の cpp は抜群の成績を示す。
(9/20 16:10〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

幸谷 智紀
本講演では、仮数部の桁数が可変の浮動小数点数を用いた数値計算 (以下、多倍長数値計算と略記) について議論する。
初めに、多倍長計算は数値計算にまつわる全ての厄介事を解決できる万能薬ではないことを認識した上で、効果をもたらす具体的な問題・アルゴリズム例を提示する。
次に、私が使用出来た範囲で、多倍長計算可能なソフトウェアの比較を行い、1CPU の PC においては四則演算 (加減乗除) 単位のパフォーマンスはほぼ限界に近いレベルまできていることを示す。その中でも GNU MP (以下 GMP と略記) は最高の性能を持っていることも併せて示す。
最後に GMP (GNU MP) を利用した多倍長数値計算ライブラリの例として BNCpack を取り上げる、四則演算単位では最高性能のライブラリを使っていながら、基本的な線型計算は素朴な作りになっているため、速度面で LAPACK/BLAS に劣るといった問題点も併せて提示する。
(9/20 15:40〜 30 分)

成井 弦
LPI 技術者認定試験の意義と現状の説明に加え、LPI 本部・LPI-Japan 設立の経緯、組織概要などを紹介する。また、LPI の今後の方向性などにも触れる。
(9/20 13:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

井上 浩一, 切明 政憲, 渡辺 隆行
Emacs はエディタであると同時に、WEB ブラウザやメーラ、シェルなども含めた統合環境として広く用いられており、Emacs Lisp による拡張性、Linux や Windows を含めた多くのプラットフォーム上で動作するポータビリティを持っている。我々は、全盲の Raman 博士が開発した Emacs 音声化システム Emacspeak に着目し、その機能を拡張して、多言語、特に日英 2 カ国語、そして Linux と Windows に対応した音声化システムとすべく、BEP の開発を進めてきた。本発表では、ようやく実用的な日英 2 ヶ国語音声化システムとして公開可能となった BEP の特徴、機能、構成について述べる。
(9/20 14:10〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション]

田畑 悠介
今もっとも熱い、日本語環境プロジェクトである日本語変換エンジン Anthy と日本語入力モジュール Utena について解説する。Anthy は、変換がとても賢くなってきたとともに、GNU Emacs の異なるインタフェースの実装 (EGG V4 によるバックエンドの実装) がサポートされ、Zaurus Linux において IMKit-Anthy が作成されるなど採用が進んでいる。GTK+ 2.0 の日本語入力モジュールとして開発がはじまった Utena は、GTK+ の多言語入力の標準的なモジュールを目指して進める Scheme で拡張可能な入力システムの枠組である。
(9/19 13:40〜 30 分)

[資料: 配布資料]

市村 元信
分散入力メソッド IIIMF (Internet/Intranet Input Method Framework) は、Language Engine と呼ばれるモジュールを用意する事で、各言語に対応した Input Method (以下 LE) を提供する事ができる Framework である。本稿では、LE の実装の一つである iiimf-skk ついて解説する。また、今後の展開、他の LE への応用等についても述べる。
(9/19 13:00〜 30 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

尾藤 正人, 舟阪 淳一
「みかん」は、サーバ自動選択型仮想 FTP サーバデーモンです。
更新遅れの頻発するミラーサーバをできるだけ利用し、マスターサーバへの負荷の集中を緩和します。常にマスターサーバのディレクトリツリーと同期をとっており、常に最新のファイルを取得することができます。
従来の FTP クライアントから使用可能であり、特別な機能を持った FTP クライアントを用意する必要はありません。
キャッシュ機能を搭載しているので、一度取得したファイルは、高速にやりとりを行えます。
「みかん」は、組織内の FTP ミラーサーバとして使用することを想定しており、本物のミラーサーバよりもディスク容量とネットワーク資源を効率的に利用します。
(9/18 13:00〜 45 分)

[資料: プレゼンテーション, 配布資料]

守岡 知彦
CHISE (CHaracter Information Service Environment) プロジェクトは、符号化文字技術の問題点を克服するために、文字に関する諸知識を機械可読な形で記述したデータベースに基づいた文書処理環境を実現することを目指しており、現在、文字属性データベースに基づく多言語文書編集系 XEmacs UTF-2000 と知識表現形式のひとつである Topic Maps (ISO/IEC 13250:2000) 処理系を開発している。
また、文字データベース・コンテンツの開発も進めており、ISO/IEC 10646-1,2 に収録された約 7 万字の漢字を対象に部品の組合せ構造をデータベース化した。ここではこうした現状と今後について紹介する。
(9/19 13:50〜 45 分)

亀井 仁志, 小松 弘幸, 小松 誠, 佐藤 嘉則, 関 将俊, 能城 茂雄, 比屋根 一雄, 古川 達也, 南谷 和範, 宮本 久二男, 吉岡 弘隆
「ライトニング・トーク ("Lightning Talk")」とは、 短時間の発表を入れ代わり立ち代わりで次々に行っていく一風変わった形式で進行するセッションです。
世界で最初のライトニング・トークは、本家 Yet Another Perl Conference で Mark Jason Dominous さんが始めたものでした。
その誕生には「つまらん話を 45 分間も聞かされるのは苦痛だ」 という辛辣な理由がありました。そこで、ライトニング・トークでは、何をしゃべっても 5 分間。アガってしまってもたかだか 5 分。 時間になれば問答無用の打ち切り。と、10 人の発表者が次々と稲妻のように電光石火で発表を行います。
貴方も稲妻の興奮を一緒に体験しませんか?
(チェア: 能城 茂雄・野首 貴嗣)
(9/20 17:00〜 60 分)